大江山妖鬼伝説 作品紹介

 

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そして、私は鬼の話を書く    作:吉永次郎

ぼくらの年の人間には、かつて子供の頃、鬼は身近にいた。外での遊びの筆頭は鬼ごっこ、ぼくはしばしば鬼になった。学校に通うと教科書に鬼が出てきた。「桃太郎」「こぶとり爺さん」「酒呑童子」・・・・・。鬼はこわいということになっていた。赤鬼、青鬼、角を生やし牙をむき、虎の皮のパンツをはいて大きな目がギョロッと光っていた。ところが「桃太郎」の鬼は子供の桃太郎や犬や猿などにあっさり負けた。「こぶとり爺さん」の鬼はむしろ優しく可愛かった。頭の弱い酒呑童子はずる賢い武士にだまされて首を斬られた。鬼は強くておそろしいと教えられながら、物語の鬼たちは弱くてあわれだった。
鬼とは何だろうと後になって考えた。人里から遠くはなれた山の奥、大江山、伊吹山、そんなところに住まなければならなかったのはなぜ? 大してこわくもないのに人々がおそれたのはなぜ? 鬼の話などすっかり忘れ去られた現在、鬼はもういなくなったのだろうか? そしてこんなものを書いてみた。

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【吉永仁郎】
1929年東京生まれ。早大英文化卒業。
代表作に「すててこてこてこ」「煮えきらない幽霊たち」
「季節はずれの長屋の花見」「蝉」「山帰来荘」
「彫刻のある風景」「滝沢家の内乱」など



感じること――    演出:藤本栄治
   

鬼は人間の観念が生みだした架空の産物である。古代から現代に至るまでの時代背景の中で変遷を繰り返しつつ、いろいろに姿かたちをかえて登場してきた。今回登場する鬼は王朝貴族が栄華を極めた時代に生きた底辺の人間が、母の屍の肉を食らい鬼になって世の中の不条理にたちむかっていく凄絶にして哀しい様を呈している。
兄の酒呑童子は身を破滅させつつ現実に生き、弟の茨木童子は人間としての心の絆を取り戻したいと苦悩する姿に、より人間的な親しみと愛おしさを覚える。鬼とは人間の内なる精神に宿るものだろうか。欲にとりつかれた源頼光一派と献身的な愛を全うする茨木童子とすみれの生き方を通して普遍的な人間の営みをあぶりだしたいと思っている。


スタッフ

作:吉永仁郎 演出:藤本栄治 美術:板坂晋治 照明:工藤和明 音楽:玉麻尚一 音響効果:平田一紀
振付:高木祥次 殺陣:見高光一 衣装:小野聡子(インナーフラワー) 京言葉指導:宮本毬子




日本古来の物語本「御伽草子」を元に書き下ろした異色作!

全編を流れるダイナミックな音楽、衝撃の幕開き!
躍動感溢れるクライマックスの大立ち回りの迫力!
舞台空間をフル活用した名場面の数々!



生の舞台の面白さや楽しみ、そして醍醐味を存分に感じていただけるよう、
エンターテイメントな舞台に仕上げております。