ブンナよ木からおりてこい


ストーリー


主人公ブンナは木登り上手の殿様ガエル。

ある日、古老達の注意も聞かず、天国を求めてシイの木のてっぺんに登ります。


ところがそこでブンナが見たものはまさに地獄図でした。スズメ、モズ、ネズミ、ヘビ...。

様々な動物がトンビの餌食として投げ込まれ、トンビが来るまでの間、

自らの失敗を悔い、泣き、語り、諦める動物たちの様子を目の当たりにします。

しかし、そんな体験からブンナは、
あらゆる動物は食べあって生きること、どんな動物の命も等しく尊いことを悟るのでした。



 



ブンナの世界  水上勉


主人公は弱い蛙である。ブンナと名をつけたのは、土蛙を馬鹿にして、威張っている跳躍力のあるとのさま蛙にふさわしかったからだ。
仏教説話に、釈尊の弟子にブンナーガという悟りのおそい人が出てくる。これが出所だった。

木のぼり巧みなブンナが、椎の木のてっぺんへのぼりたくなって、古老たちがとがめるのもきかずにある一日、
椎の木をのぼって、てっぺんで土を発見する。天国だと思う。

ところが、そこで、鳶の餌たちの地獄図を見てしまうのだ。
穴にもぐってかくれていた頭上へ、雀や百舌や鼠や蛇が投げ込まれてくる。
それぞれの動物が、へまをやったことを悔いながら、
やがて、鳶にもってゆかれるまでの短い時間を、泣いたり争ったり、あきらめたり、だまりこくったり、しゃべったりして時をすごす情景を、
穴の下できいたブンナの感懐が、この物語の主題となる。

鳶も、蛇も、鼠も、雀も、蛙もみんな似たような弱い者いじめで生きている、
お互いに弱い者を喰らって生きるのだが、じつは、誰かの生まれかわりだと悟るのである。
それゆえに、土蛙も、とのさま蛙も、同じように命は尊い。

「ブンナが世界をつなぐ」より

作者 水上勉

1919年3月8日福島県に生まれる
1961年 『海の牙』で探偵作家クラブ賞
1961年 『雁の寺』で直木賞
1966年 『くるま椅子劇場の歌』婦人公論読者賞。『城』文藝春秋読者賞
1971年 『宇野浩二伝』菊池寛賞
1973年 『兵卒の髭』『北国の女の物語』吉川英治賞
1975年 『一休』谷崎潤一郎賞
1977年 『寺泊』川端康成賞
1980年 『あひるの靴』斉田喬戯曲賞
1984年 『良寛』毎日芸術賞
2002年 『虚竹の笛』親鸞賞
2004年9月8日没 




絵:松尾あいこ

1987年 御堂筋ギャラリー
1988年 JAKA日本イラストレーション展(1990年も)
2000年 第7回クリエーターズ・サマーフェスティバル(金賞)
      第13回美濃和紙画展(2002年も)
2001年 FADC扇子うちわ展(2002年も)
2002年 第1回アポロ社ウエディングカード展(優秀賞)
2003年 室町スピード印刷干支展(佳作)